「流山市・柏市・松戸市・野田市」周辺の企業様における人事・労務管理を行う社会保険労務士。内山労務管理事務所
内山事務所通信2012年1月号
謹んで年頭のご挨拶を申し上げます
新春を迎え 皆様のご健康とご多幸を 心よりお祈り致します 本年も何卒よろしくお願い申し上げます
平成24年 元旦
(ニュース)国民年金改正法案を国会に提出 【「年金切り替え忘れ問題」、法制化で救済へ】
いわゆる「年金切り替え忘れ問題」の救済措置などを盛り込んだ国民年金法改正案が11月22日、政府の閣議で決定、国会に提出されました。 専業主婦など国民年金の第3号被保険者が、夫の退職などに伴い第1号被保険者への切り替え手続きを忘れていたために保険料未納期間となり、将来年金がもらえなくなる可能性が出ることから、こうした未納期間を年金の受給資格期間に算入することや、過去10年間の未納分を追加納付できる措置を実施することなどが主な内容となっています。 また、切り替え手続き忘れがあり、本来は未納期間とすべきところを、保険料を納めたとみなす第3号被保険者期間としてカウントされたために、本来より多い額の年金をすでに受け取っている人については、過払い分の返還(年金の減額)を求めないこととしています。 (ニュース)平成24年度改正案を諮問 【労災保険率、35業種で引下げへ】
厚生労働省は12月5日、平成24年度から適用する労災保険率を、全業種平金で1000分の5.4から4.8に引き下げることなどを盛り込んだ労働保険料徴収法施行規則の改正省令案要綱をまとめ、労働政策審議会に諮問しました。 省令で定めた55業種のうち、引下げが行われるのは、「卸売業・小売業、飲食店又は宿泊業」など35業種、据え置きが「建築事業」など12業種、引上げが「既設建築物設備工事業」など8業種となっています。 このほか、建設業と林業で、メリット制の適用要件である確定保険料の額を、現行の「100万円以上」から「40万円以上」に引下げ、適用される事業所の範囲を拡大することも盛り込まれています。 (ニュース)厚労省・23年の初任給調査結果 【大卒初任給、男女とも2.3%増加】
このほど厚生労働省がまとめた平成23年の初任給に関する調査結果によると、新規学卒者の初任給は、大卒者の場合、男性20万5,000円、女性19万7,900円で、いずれも前年比2.3%の増加となりました。 高専・短大卒では、男性17万5,500円(同1.1%増)、女性17万500円(同1.4%増)高校卒では、男性15万9,400円(同0.8%減)、女性15万1,800円(同0.9%減)となっています。 (ニュース)社会保障と税の一体改革案まとまる 【年金水準を来年度から引下げ】
社会保障と税の一体改革について、厚生労働省は12月5日、社会保障部分の改革案における中間報告をまとめました。 過去の特例措置で、本来より2.5%高くなっている年金の支給水準の引き下げについては、平成24年度の支給額から実施する方針で、厚生年金のパートへの適用拡大など具体的な制度設計は、通常国会への法案提出に向けて引き続き検討するとしています。 (労務管理)トラブル回避の対応術 【育児短時間勤務者は育児時間を取れる?】 事例 現在、1歳未満の子がいる女性従業員について、本人の希望により始業時刻を1時間短縮して1日の所定労働時間を7時間としています。 「育児のための短時間勤務制度」とは 育児・介護休業法(第23条第1項)では、事業主は、3歳未満の子を育てる労働者であって現に育児休業をしていない労働者について、所定労働時間の短縮措置を講じなければならないと定めていて、適用除外者や労使協定で除外できる者とした労働者を除いて、本人から申し出があった場合は、原則として短時間勤務制度を利用できるようにする必要があります。 (常時雇用する労働者が100人以下の企業については、平成24年7月1日から義務化) この短時間勤務制度は、1日の所定労働時間を原則として6時間とする措置を含むものとしなければなりませんが、例えば1日7時間もあわせて設けるなど、労働者の選択肢を増やすような措置でも可能であるとされています。 「育児時間」とは
一方、労働基準法(第67条第1項)では、1歳に満たない子を育てる女性労働者は、1日2回それぞれ少なくとも30分の育児時間を請求することができると定めています。 育児時間は、本来は授乳のための時間を想定して定められたとされていますが、授乳だけではなく、育児全般に関する世話のために要する時間でも認められるとされています。 また、育児時間を請求された場合は、請求された時間に働かせることはできないので、始業時刻後の30分間を育児時間として請求されたとしても、一方的にその時間を変更することはできません。
2つの制度は併用できる
このように2つの制度は、仕事と育児の両立支援という視点においては共通するものがありますが、それぞれの法律に根拠をおいた別個の制度となっていて、一方を利用する場合に、もう一方が制限されるような定めもありません。 つまり、育児のための短時間勤務制度を利用している女性労働者は、労基法に基づく育児時間もあわせて利用することができることになります。ただし、育児時間は1歳未満の子を育てる女性労働者に請求権がありますので、該当する子が1歳に達した以降は、短時間勤務制度と併用することができません。 今回のケースは、本人の希望を汲み取って1日7時間勤務としたわけですが、たまたま育児のために始業時刻に間に合わない状況が発生したということで育児時間を請求したと考えられます。 育児時間を無給と定めていれば、遅刻扱いとして給与を減額することと同じ結果になるかも知れません。しかし、遅刻が人事評価などに影響することも踏まえたうえで育児時間を請求しているのだとすれば、これを遅刻扱いとすることはできないでしょう。
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