「流山市・柏市・松戸市・野田市」周辺の企業様における人事・労務管理を行う社会保険労務士。内山労務管理事務所

内山事務所通信

2012年6月号

平成23年度雇用均等基本調査(速報)

 【男性の育休取得率、過去最高の2.63%】

このほど厚生労働省が発表した「平成23年度雇用均等基本調査」の結果(速報)によると、男性の育児休業取得率が前年度調査(1.38%)より1.25ポイント上昇して、過去最高の2.63%となったことが分かりました。
一方、女性の育児休業取得率も前年度(83.7%)より4.1ポイント上昇して87.8%となっていますが、平成20年度(90.6%)をピークに、この3年間は90%を下回っています。
調査の対象となったのは、常用労働者を5人以上雇用している民営事業所で、平成21年10月1日から平成22年9月30日までの1年間に在職中に出産した女性、および配偶者が出産した男性のうち、平成23年10月1日までに育児休業を開始した人(育児休業の申出をしている人を含む)の割合を調べたものです。
また、フルタイム勤務の正社員より1週間の所定労働時間が短い、または所定労働日数が少ない正社員として勤務することができる「短時間正社員制度」(育児・介護のみを理由とする短時間・短日勤務は除く)がある事業所の割合は20.5%と前年度(13.4%)に比べて7.1%ポイント上昇しています。

労働保険の年度更新

平成24年度労働保険(労災保険・雇用保険)の年度更新手続の時期が来ました。
新年度の概算保険料および前年度の保険料を確定するための申告・納付の手続きを行う年に一度の大切な行事ですので、ご協力をお願い致します。


(ニュース)平成22年公的年金加入状況等調査

  【67%が自分の年金記録を確認】


厚生労働省はこのほど、平成22年「公的年金加入状況等調査」の概要をとりまとめました。
 この調査は、平成22年11月30日現在における全国の15歳以上の人を対象とするもので、「過去3年程度の間に自身の年金記録を確認したことがあるか」という質問に対して、20歳以上の人のうち「ある」と回答した割合は67.4%であることが分かりました。年齢別の割合では、「60~64歳」(83.9%)が最も多く、「25歳~29歳」(53.9%)でも約半数の人が確認しています。
 確認のきっかけとしては、大多数の人が「ねんきん特別便」や「ねんきん定期便」等の通知を見たことを挙げています。


(ニュース)地域主権戦略会議が枠組み合意

  【「ハローワーク特区」を10月始動へ】


「国の出先機関を原則廃止とするアクション・プランを検討している地域主権戦略会議のワーキングチームは5月7日、「ハローワーク特区」の枠組みについて合意しました。
ハローワーク特区は、試行的に、東西一ヶ所ずつ国の機関であるハローワークが地方に移管されているのと実質的に同じ状況を作り、移管の可能性を検証するものです。
移管が行われると、国が行う無料職業紹介や雇用保険の認定・給付等の事務と、地方が行う無料職業紹介、職業能力開発、公営住宅、福祉等に関する相談常務等が地方自治体の主導のもとで一体的に実施され、利用者のさまざまなニーズにきめ細かく対応することが可能になるとみられています。
今回特区となったのは、ハローワーク浦和とハローワーク佐賀の2ヶ所で、平成24年10月からの事業開始をめどに、厚生労働省は具体的な取組みの内容について所要の措置を講じることにしています。


(ニュース)成長分野等人材育成支援事業の奨励金(震災特例)

  【被災者の雇い入れ後の訓練要件を緩和】


厚生労働省は、「成長分野等人材育成支援事業(震災特例)」の奨励金制度を拡充し、5月2日以降の申請分から適用しています。
この制度は、中小企業の事業主が東日本大震災の被災者を雇用し、職業訓練を行う場合に訓練費用が助成されるもので、Off-JT(通常の業務を離れて行う職業訓練)のみの訓練を行う場合に、これまで対象外だった平成23年5月2日以降新規に雇い入れた労働者についても対象となり、コース数の制限(これまでは1人あたり3コースが上限)も廃止されたほか、「被災者雇用開発助成金」との併給ができるように緩和されました。


(ニュース)日本生産性本部・新入社員の意識調査

  【「今の会社に一生勤める」が6割超】


公益財団法人日本生産性本部が、今年春に新入社員を対象に実施した意識調査によると、転職に関する自身の考え方として、「今の会社に一生勤めようと思っている」とする回答が過去最高の60.1%となりました。
一方、「きっかけ、チャンスがあれば転職しても良い」とする回答は26.6%と過去最低で、両者の差は33.5ポイントと最大になりました。
また、「将来への自分のキャリアプランを考える上では、社内で出世するより、自分で起業して独立したい」とする回答が過去最低の12.5%となるなど、景気回復の見通しが立たないなかで、チャレンジ指向が低下する結果となっています。


(安全・労働衛生)職場の安全&衛生

 【安全衛生教育の8原則】

安全衛生教育


職場に安全衛生を定着させるためには、安全衛生教育をしっかり行う必要があります。
労働者に安全行動をさせるためには、労働災害の防止・職業性疾病の予防のための必要な知識や技能を付与し、経験させ、やる気を育てることが大事です。
今回は、安全衛生教育を実践する際のポイントとなる8原則について説明します。


安全衛生教育の8原則


①相手を中心に

教育の目的は、あくまで相手が覚えて実行し、上達してくれることです。
ですので、相手の能力に応じて教え、教える側のペースや考え方で行わないことが大事です。教える方にとっては常識でも、相手は初めて聞く事柄も多いのですから。


②自らやる気を起こさせるように

あまり押し付けず、時には相手に考えさせ、話をさせて、ひとりでにやる気を起こすように導きましょう。


③やさしいことから難しいことへ

はじめから難しい話をすると、わからなくて自信をなくすことがあります。相手が理解し、覚えられるだけのことから教え、教える内容を少しずつ高めていくことにしましょう。


④一時に一事を

人間は、一度に多くのことを覚え、身につけることはできません。段階を追って1回にひとつのことを教えれば、相手は楽に覚えられます。このように一歩一歩確実に覚えさせることが大事です。


⑤反復して

何度も根気よく言って聞かせて、やってみせ、やらせることが大切です。
人によっては、相当回数を繰り返さないと理解してくれない場合がありますが、根気強く励ましてがんばらせることが大切です。


⑥身近な事例に結びつけて

理屈だけの話をしても、いざ仕事をするときは、応用がきかないことが多いものです。
身近な災害事例や改善事例などを話して強い印象を与えることが大切です。


⑦体験させ、五感を活用して

教えるときは、実物を見せたり、実際にやらせてみることが大切です。体験を通して覚えたことは、なかなか忘れないからです。
五感を活用させると、教えるうえで大きな効果があります。五感が外部から受ける刺激の割合ですが、視覚75%、聴覚13%、触覚7%、嗅覚3%、味覚2%と言われています。


⑧急所の理由を言って

「急所」は、「なぜ、それが急所になるのか」という理由を飲み込ませないと、すぐに忘れてしまいます。理由を飲み込ませ、ポイントをしっかり意識させることが重要です。


安全衛生教育の実践


以上8原則を職場で教育を行う人全員に周知して、実践して頂くことにより、より効果的な安全衛生教育ができることになります。


(労務管理)トラブル回避の対応術

 【無断欠勤は即日解雇できるか】

事例

当社の就業規則の懲戒解雇事由に「無断欠勤があった場合」とありますが、実際に無断欠勤があった場合、それが1日であっても就業規則に基づいて解雇することは認められるのでしょうか?



無断欠勤と懲戒解雇


正当な理由もなく届け出ずに欠勤することは企業活動においては労働者の非違行為といえるものですので、就業規則などに定めがあれば、無断欠勤は懲戒の対象になります。
しかし、懲戒の程度が解雇となると、その行為が解雇に相当するかどうかが問題にされることがあります。
労働契約法第16条においては、「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と定められています。したがって、就業規則の規定に基づいて解雇したとしても、まったく問題がないわけではありません。


無断欠勤の程度と対応


そうなると、実際に無断欠勤で解雇できるのか、できるとすれば何日以上なのか、という疑問が残ります。
それについて、労働基準法(第20条)では、「労働者の責めに帰すべき事由に基づいて解雇する場合」に労働基準監督署長の認定を受けることで、解雇予告を除外できると定められており、以下の解雇予告の除外認定の事由に該当することが単純に解雇の合理性に繋がるとはいえませんが、認定の事由を参考にすれば、無断欠勤による懲戒解雇は「2週間以上」が一応の目安になっていて、この間に出勤の督促を行うことも条件といえるでしょう。


(1)原則として極めて軽微なものを除き、事業場内における盗取、横領、傷害等の刑法犯に該当する行為のあった場合

(2)賭博、風紀紊乱等により職場規律を乱し、他の労働者に悪影響を及ぼす場合

(3)雇入れの際の採用条件の要素となるような経歴を詐称した場合

(4)他の事業場へ転職した場合

(5)原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合

(6)遅刻や欠勤が多く、数回にわたって注意を受けても改めない場合


なお、認定にあたっては、労働者の地位、職責、勤務年数、勤務状況などを考慮した上で、総合的に判断すべきとされています。


就業規則の運用


今回の質問のケースでは、就業規則には懲戒解雇事由となる無断欠勤の日数が明記されていませんが、実際に無断欠勤があった場合、無用なトラブルを避けるためにも、欠勤期間の長さだけではなく、どのような事情で届出がなかったのか、届け出ることができない正当な理由が存在するのか、会社に実害があったのかどうか、などの事情も考慮した上で、慎重に規定を運用することが必要となるでしょう。



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