「流山市・柏市・松戸市・野田市」周辺の企業様における人事・労務管理を行う社会保険労務士。内山労務管理事務所

内山事務所通信

2012年7月号

スローガン

 【ルールを守る安全職場 みんなで目指すゼロ災害】

全国安全週間(平成24年度7月1日~7日)

昭和3年に初めて実施されて以来、今年で85回目を迎える全国安全週間は、7月1日から7日までの1週間にわたって行われます。
平成23年の労働災害による死亡者は2,000人を超えており、震災を直接の原因とする死亡者を除いてもなお1,024人もの尊い命が労働の場で失われています。また、一度に多くの労働者が被災する重大災害も依然として高い水準にあります。
このような状況の中、労働災害を防止するためには、安全衛生の担当者や労働者による現場の確認、機械設備の安全基準や作業手順などの基本的なルールを守るという、原点に立ち返ることが必要であり、そのことによって労働者の安全を確保し、労働災害ゼロを目指していく必要があるとの観点から、左記スローガンの下に展開されます。

健康保険・厚生年金保険 算定基礎届の提出

7月に入ると10日までに健康保険・厚生年金保険の「被保険者報酬月額算定基礎届」を提出することになっています。
6月の給与計算が一段落したところで、報酬額の計算ができるよう、ご協力をお願いいたします。


(ニュース)平成23年度個別労働紛争解決制度の利用状況

  【「いじめ・嫌がらせ」の相談が増加】


厚生労働省はこのほど、平成23年度における個別労働紛争解決制度の利用状況をまとめました。

全国の総合労働相談コーナーに寄せられた相談件数は約111万件で、前年度より2万件あまり減少していますが、このうち解雇や労働条件の引下げなどといった民事上の個別労働紛争に関するものは25万6,343件で、前年度に比べて9,436件(3.8%)増加し、過去最高を更新しています。

相談の内訳は、「解雇」が18.9%で最も多いものの前年度(21.2%)より減っているのに対し、それに続く「いじめ・嫌がらせ」が15.1%(同13.9%)と過去10年間で最も多くなっています。


(ニュース)改正派遣法の政省令・告示検討案

  【高齢者等の派遣を新規制の対象外に】


労働政策審議会は6月5日、今年3月に成立した「改正労働者派遣法」についての政省令及び告示等に関する検討事項(案)をまとめました。

今回の改正の柱である日雇い派遣の原則禁止について、例外と認められる場合として、「高齢者(60歳以上)」「昼間学生」のほか、一定の条件で「副業として従事する者」「主たる生計者でない者」も示しています。

グループ企業内派遣を8割以下とする規制についても、関係派遣先への派遣割合の算定から除外される定年退職者の範囲を60歳以上とすることとしています。

また、離職した労働者の離職後1年以内の派遣労働者としての受入禁止の例外となる者として、60歳以上の定年退職者を挙げていて、新しい規制が高齢者の就労の妨げにならないような配慮が検討されることになります。

なお、改正法の施工期日は政令で定められる予定ですが、平成24年10月1日が有力となっています。


(ニュース)民間企業は2.0%に

  【障害者雇用率を引上げへ】


障害者雇用促進法に基づく民間企業の障害者雇用率を、平成25年4月1日から、現行の1.8%から2.0%に引き上げることなどを内容とした改正案について、労働政策審議会は5月23日、これを妥当とする答申を行いました。

民間企業の障害者雇用率が2%に改正されると、除外率などを考慮しない単純計算で、現行では「常用労働者数56人につき1人」が、「50人に1人」の割合で障害者の雇用が義務づけられることになります。

なお、障害者雇用納付金、障害者雇用調整金及び報奨金の額については、それぞれ現行どおりとすることとされています。


(ニュース)23年度障害者職業紹介状況

  【障害者の就職件数、過去最高】


厚生労働省がまとめた平成23年度における障害者の職業紹介状況等によると、就職件数は5万9,367件で、前年度に比べて12.2%増加し、過去最高となりました。

新規に求職を申し込んだ件数も同11.8%増の14万8,358件、就職率も同0.1%ポイント増の40.0%となり、4年ぶりに40%台に回復しました。

また、就職件数について就職者の障害種別でみると、「精神障害者」が前年度に比べて29.5%増の1万8,845件と大きく増加しています。


(安全・労働衛生)職場の安全&衛生

 【安全者の安全十戒】

事業者の義務と労働者の義務


労働安全衛生法の義務は事業者に課せられているものが中心ですが、事業者だけでは職場の安全は守れないので、労働者に対しても義務が課せられています。そして、それを守らない場合は罰則もあります。

今回は、この労働者が守るべき義務のポイントを安全十戒として説明します。


労働者の安全十戒


安全十戒その1【安全装置を取り外したり切らない義務】

労働者の作業の安全を守るために安全装置は付けられているのですから、それを外したり切ることは労働者自身を危険な状態におくことになるので、それを禁止するものです。


安全十戒その2【安全措置実施義務】

労働者の安全作業のための色々な措置が決められていますが、労働者がそれを実施することを義務付けるものです。


安全十戒その3【合図に従う義務】

安全作業のために合図を決めることが必要ですが、労働者がその決められた合図に従うことを義務付けるものです。


安全十戒その4【誘導者の誘導に従う義務】

労働者の安全を守るために誘導者をおく場合に、労働者がその誘導者の誘導に従うことを義務づけるものです。


安全十戒その5【立ち入り禁止場所に入らない義務】

立ち入り禁止となっている場所は危険ですので、そこに立ち入ることを禁止するものです。


安全十戒その6【火気使用禁止義務】

危険物がある場所等で火気を使用することは火災爆発の危険があるので、そのような場所で火気を使用することを禁止するものです。


安全十戒その7【危険行動禁止を守る義務】

災害発生に結び付く危険行動の禁止を守ることを義務付けるものです。


安全十戒その8【保護具着用・使用義務】

保護具は労働者を危険から守るためのものですので、それを着用したり使用することを義務付けるものです。


安全十戒その9【無免許・無資格運転の禁止義務】

クレーン等危険な機械はその免許等がなければ運転できないので、そのような機械を無免許・無資格の労働者が運転することを禁止するものです。


安全十戒その10【機械の運転の安全義務】

機会を運転する際に、安全に運転したり稼働することを義務付けるものです。


労働者への周知・教育


労働者が守るべきこうした義務は事業者の義務に比べて時として見落とされがちですし、知らない労働者も多くいます。しかし、職場の安全を守るためには事業者の義務同様守ることが必要です。

このような観点から、労働者にも労働安全衛生法上の義務があることやその内容を、ミーティングや会議の時に労働者に知らせることが大切でしょう。


(労務管理)トラブル回避の対応術

 【計画年休は新入社員を除外できるか】

事例

当社では、夏休みは原則として一斉に取ることになっていますが、今年は電力事情に配慮するため、休みを2日増やし、その分は就業規則に基づいて年次有給休暇の計画的付与で対応することを検討しています。
計画的付与に関する協定書を作成するにあたって、4月入社の新入社員はまだ年次有給休暇がないので、計画的付与の対象から外すことはできますか?
またはずせる場合は、2日間は外部研修をうけさせようと考えていますが、研修を受けさせないで休ませた場合、その日の賃金を控除することはできるでしょうか?



計画的付与の導入要件


年次有給休暇(年休)の計画的付与の制度を導入するためには、あらかじめ労使協定を締結することが必要で、就業規則の作成・届出義務がある事業場(常時10人以上の労働者を雇用)は就業規則に計画的付与について定めて、労働者に周知させておかなければなりません。

これにより、年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの日数を計画的付与の対象とすることができます。

計画的付与の方式には、①一斉付与方式、②班別の交代制による付与方式、③個人別付与方式があります。

個人別付与方式は、付与日数の範囲で労働者の意向を踏まえて年休の取得日を決めることができるので、比較的無理なく導入ができますが、一斉付与方式や班別付与方式は、付与する日が労働者の希望どおりではないことがあり、また、年休がまだ発生していない労働者や年休の残りの日数が5日以下となっている労働者に対する扱いで問題が起きる場合もあります。


一斉付与方式では特別の扱いが必要


年休の計画的付与に関する協定では、対象となる労働者、または対象としない労働者を定めることになりますが、今回のケースのように一斉付与方式では、対象になる、ならないにかかわらず、通常はすべての労働者を休ませることになりますので、行使できる年休の日数が足りない人や、年休がまだ発生していない人も計画的付与の対象とする場合は、特別に付与日数を増やすなどの措置が必要となります。

また、これらの人を対象から外したとしても、結果的に一斉付与日に対象者と一緒に休ませることとなった場合、賃金を支払わないような扱いをすることはできません。その場合は特別に有給休暇を付与するか、または事業主都合による休業扱いとして、平均賃金の6割以上の休業手当を支払う必要があります。

このように、年休の計画的付与を導入するにあたっては、どのような方式によるにしても、事前に十分に話し合い、年休が足りない人などをどのように扱うかを明確定めておくことが重要となるでしょう。



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